神社好きなら「富部神社」と「村上社」
富部神社
名古屋市南区にある神社でまずおすすめなのが「富部神社」です。富部神社の御朱印は毎月絵柄が変わるため、御朱印コレクターにも人気のスポットです。今月はどのような絵柄だろうと頻繁に訪れる人も少なくありません。蛙にゆかりがあることから、境内の至る場所に蛙の置物があります。
富部神社は笠原台地にあり、この台地は江戸時代には松に覆われた大きな島でした。海を眺められる景勝地で、1602年に松平忠吉が創設しました。厄除け、開運、病気平癒、縁結び、商売繁盛などのご利益があり、名古屋市内の神社で唯一国の重要文化財に指定されています。
蛙にゆかりがあると述べましたが、これは戦国時代のある出来事に由来します。当時、戸部城主であった戸部新左衛門は非常に乱暴で、誰彼構わず切り捨ててしまうような人物でした。ある日、戸部新左衛門の前を蛙が横切った際、切り捨てようとしたものの素早過ぎて逃げられたそうです。それ以来、命拾いして無事に「帰る(かえる)」という願いを込め、焼き物の蛙が作られるようになりました。これは「戸部蛙」と呼ばれ、多くの旅人に人気を博し親しまれるようになったのです。これが、富部神社と蛙の関係性です。
村上社
次におすすめなのが村上社です。村上天皇が祀られている神社ですが、見どころはそこではなく境内にそびえ立つ大楠の木です。その造形の美しさや迫力から全国にファンがいます。推定樹齢は1,000年を超えており、平安時代からあるといわれています。高さは約20メートル、幹の周囲は10メートルを超えており、多少治療はされているものの今も元気な状態を保っています。天然記念物にも指定されており、名古屋を代表する銘木の1つといって差し支えないでしょう。なお、楠は古い時代に中国から入ってきたもので日本原産の木ではありません。楠が好んで植えられたのは薬用効果があったためだと考えられています。薬の原料として利用できるだけでなく防虫効果もあります。とはいえ、誰がここに楠を植えて、なぜ切られずに残っていたのかは判明していません。その点も含めてミステリアスな魅力があります。初夏には小さな白い花を咲かせ、非常に美しい姿になります。この時期に大楠の木を見に訪れる観光客も多いようです。
大楠の木の前には祠があり、ここに村上天皇を祀っています。しかし、誰が何のために村上天皇を祀ることになったのかは判明していません。ちなみに、兵庫県神戸市にも村上天皇を祀る村上帝社という小さな神社があります。
その他の寺院・神社紹介
笠寺観音(笠覆寺)真言宗 笠寺観音(笠覆寺)は天平5年(733年)に建立され、名古屋城築城にあたり、鬼門の方角にある寺院を鎮護として尾張四観音(笠寺、甚目寺、荒子、龍泉寺)の1つに数えられている古寺です。
笠覆寺というのは「傘で覆う寺」を意味し、ある女性の伝説からその名前が付いたとされています。
~昔々、観音像にお祈りを続ける女性が、雨に打たれて濡れてしまっている観音様を見て、自分のかぶっていた笠をかぶると、そこに通りかかった男性(京からやってきた貴族青年・藤原兼平)が、その女性の振る舞いに心惹かれ、女性を京に召しました。そして女性は、その男性と結ばれ、「玉照姫」と呼ばれるようになり、後にその夫婦は出会いのきっかけになった観音様に感謝し、お堂を立てて、笠をかぶせた観音様をお祀りしたそうな。~
今も玉照姫・兼平公のご位牌が笠寺観音に安置され、1000年以上にわたり縁結びの観音様として、良縁を祈願して多くの人が訪れるお寺となっています。
他にも、厄除けや季節ごとの行事などの祭事も定期的に開催され、特に毎月6がつく日に開催される「六の市」には、境内に様々な露店が立ち並び、チ地元の人で賑わう、地域に根ざしたお寺です。また、東側には桜を楽しめる「笠寺公園」もあり、合わせて楽しむことができます。(2023年3月14日記事更新)